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重心深度 |
重心深度とは、ヘッドの重心の深さです。定義は2種類あり、ヘッドの重心からフェース上の重心点
(スイートスポットまたは芯とも言います)までの距離、またはヘッドの重心からリーディングエッジまでの距離、
のどちらかを指します。当サイトでは後者を採用し、下図の赤字で示すように
「重心深度とはヘッドの重心からリーディングエッジまでの距離である」と定義します。

多くのゴルフクラブメーカーが重心深度が深いことを宣伝文句にしています。重心深度に関しては、
色んな人が色んなことを言っていて、中には「論理的にちょっと間違っているんじゃないかなぁ」と
思うものもあり、正直、何が正しいのか良く分かりません。
色んな人が言っている色んなことを要約すると以下の4点です。
重心深度が深いと慣性モーメントが大きくなる
重心深度が深いと球が上がり易い
重心深度が深いとボールのバックスピン量が多くなる
重心深度が深いと球の捕まりが良い
以下に私の考えを述べます。
重心深度が深いほど、ヘッド慣性モーメントが大きくなるという理論は正しいです。
これは自信を持って「Yes!」と言うことができます。
重心深度が深いと、なぜ慣性モーメントが大きくなるのでしょうか?。
慣性モーメントとの特徴の一つに「重心点がヘッドの形の上での中心点に近いほど慣性モーメントは
大きくなり易い」ということが挙げられます。
ヘッドの形の上での中心点は下の左側の写真で、赤の点線の対角線が交わるところ●の場所ですね。
しかしながら、ほとんどのヘッドの重心点は●よりも少しフェース寄りの●の辺りにあるんです。
ヘッドを包丁で半分に切ってみると右側の写真のようになりますが、フェース側半分の方がちょっとだけ
重そうだということが視覚的にも判ります。フェース側の方が重い分、重心点はフェース寄りになるんですね。

●の位置をもう少し後ろに下げてあげて●の位置まで持ってくると
(別の表現をするなら「重心深度を深くしてあげると」)、慣性モーメントは大きくなります。
これを実現するためにゴルフクラブメーカーはいろいろな工夫をしています。
例えば、ヘッドの後方のボリュームを増やすためにヘッドを四角くしてみたり、ヘッドのお尻の部分に
重りをつけたりして、重心深度を深くして、慣性モーメントを大きくしようとしているんですね。


下のグラフは、ヘッド体積が430cc以上のドライバー237本について、重心深度と慣性モーメントの
関係を示したものです。ヘッドの体積が同じぐらいである場合には、重心深度が深いほど慣性モーメントが
大きくなっていることが解ります。

シャフトのしなりの観点からは「Yesかも...」と言うことはできます。
| 右のイラストは、ちょっと強調して描いたものです。 ヘッド上の●はヘッドの重心です。赤い棒はシャフトです。 インパクト付近で、ヘッドの重心はシャフトの延長線上(青の点線上)に 来ようとするため、シャフトは前方にしなり、インパクト時のロフト角が ちょっとだけ大きくなるという効果が発生します。 重心深度が深いほど、この効果が大きくなるので、 「重心深度が深いほど球が上がり易い」と一応は言うことができます。 しかしながら、私が思うに、「重心深度が深いと球が上がり易いぞ!」と 大きな声で言えるほどには、この効果は大きくないと思います。 ぶっちゃけ、この効果は無視できるぐらいに小さいと私は思います。 なので、「重心深度が深いと球が上がり易い」に対する私の見解は 「ホントかなぁ?」です。 | ![]() |
重心深度が深いと、なぜボールのバックスピン量が多くなるのかを要約すると、以下の3点です。
重心深度が深いほど、重心高さは高くなり易い。
重心高さが高くなると、スイートスポットよりも下でボールをヒットする確率が高くなる。
スイートスポットよりも下でボールをヒットすると「縦のギア効果」が発生し、
ボールのバックスピン量が増える。
1番目の「重心深度が深いほど、重心高さは高くなり易い」ことは、下の写真で簡単にわかります。

凄く重心深度が浅い場合の重心位置が●で、凄く重心深度が深い場合の重心位置が●です。
●と●の高さは同一です。フェース上の重心点(スイートスポットまたは芯)は、
ヘッドの重心位置からフェース面におろした垂線とフェース面が交わるところです。
●の場合のスイートスポットの位置よりも、●の場合のスイートスポットの位置の方が、
ちょっとだけ高くなることがお解りいただけると思います。
2番目の「重心高さが高くなると、スイートスポットよりも下でボールをヒットするこ確率が高くなる」は、
その通りですね。
3番目をご説明するためには、まずは「ギア効果」について、ご説明しなくてはなりません。
「ギア効果」とは、スイートスポットよりもトゥ寄りでボールをヒットするとフック回転がかかり、
スイートスポットよりもヒール寄りでボールをヒットするとスライス回転がかかるという現象です。

上の図でお解りいただけるでしょうか?
インパクトの瞬間に、ボールとヘッドはほんの少しの間、ひっつきます。
スイートスポットよりもトゥ寄りでボールをヒットした場合、ボールとヘッドがひっついている間に、
ヘッドはオフセンターヒットの衝撃により、時計回りに回転します。
この時、フェース面とボールは歯車(ギア)が噛み合っているような状態となり、
ボールにはヘッドの回転とは逆の方向の回転(フック回転)がかかります。
スイートスポットよりもヒール寄りでボールをヒットした場合には、上記と逆の回転(スライス回転)がかかります。
これが「ギア効果」です。このようにボールに横の回転を発生させるギア効果を「横のギア効果」と言います。
トゥ側のオフセンターヒットの場合、フェースが右に回転した分、出玉は右に飛び出し、
ギア効果によるフック回転でセンターに戻ってきます。
ヒール側のオフセンターヒットであれば、左に飛び出して、スライス回転でセンターに戻ってきます。
これに対して、「縦のギア効果」という現象も、同様の理屈で発生します。
スイートスポットよりも下でボールをヒットした場合、ヘッドはオフセンターヒットの衝撃により、
下方向(ロフトが小さくなる方向)に回転します。
そして、ボールにはバックスピンが、いつもよりも多くかかります。
逆に、スイートスポットよりも上でボールをヒットした場合、ヘッドはオフセンターヒットの衝撃により、
上方向(ロフトが大きくなる方向)に回転します。
そして、ボールのバックスピンは、いつもよりも少なくなります。
重心深度が深い場合には、重心高さが高くなり易いので、
スイートスポットよりも下でボールを打ってしまう確率がちょっと上がるのは確かだと思います。
特筆しておきたいことは、スイートスポットよりも下でオフセンターヒットした場合、
ヘッドが下向きに回転するので、インパクトロフトが減少し、出玉は低く飛び出すということです。
これは、まことしやかに言われている「重心深度が深いと球が上がり易い」という理論と完全に逆です。
また、重心深度が深いクラブを使用すれば、常にバックスピン量が多くなるわけではありません。
バックスピン量が多くなるのは、あくまでもスイートスポットよりも下でオフセンターヒットした時だけです。
スイートスポットでボールをヒットすれば、バックスピン量はいつもどおりですし、
スイートスポットの上でボールをヒットすれば、重心深度が深いクラブであってもバックスピン量は減少します。
従いまして、重心深度が弾道に与える影響を正しく表現するとしたら、
「重心深度が深いことにより、重心高さが高くなってしまった場合、
低く飛び出してバックスピン量の多い球が出る確率がわずかに上がる」ということになります。
重心深度が深ければ、重心高さが高くなり易いというのは、確かにその通りなのですが、
「深い重心深度=高い重心高さ」という公式が成り立つ訳ではありません。
重心高さに、より大きな影響を与えるのは、ヘッドの各部を構成している素材です。
例えば、クラウン(ヘッドの上部)に軽いカーボン素材を採用していれば、重心は低くなりますし、
ソールの部分に重いタングステン素材などを埋め込んでいれば、同じく重心は低くなります。
重心深度が重心高さに与える影響よりも、ヘッドを構成している素材が重心高さに与える影響の方が、
はるかに大きいのです。
以上のことから、「重心深度が深いとボールのバックスピン量が多くなる」に私の見解は、
「Yes 10%、No 90%」です。
なお、このページでご紹介した「縦のギア効果」によって、ドライバーの飛距離が伸びる可能性があります。
詳細は、低重心率のページをご参照ください。
直感的に判ると思いますが、重心深度が深いと、重心角が大きくなります。
重心角が大きいと球の捕まりが良くなります。
実際に963本のゴルフクラブ数値を使用して、重心深度と重心角の関係をグラフにしてみました。
重心深度が深いほど、重心角が大きくなっているのが判ります。

市販ゴルフクラブの重心深度の平均値は、以下の通りです。
重心深度の数値を基にしてゴルフクラブを選ぶ必要はないと思います。
例えば、「重心深度が深いと慣性モーメントが大きくなる」という理由で重心深度の深いゴルフクラブを
選ぶよりも、ダイレクトに「慣性モーメントが大きい」ゴルフクラブを選ぶ方が効率的です。
また、「重心深度が浅いと重心高さが低くなり易い」という理由で重心深度の浅いゴルフクラブを選ぶよりも、
ダイレクトに「重心高さが低い」ゴルフクラブを選ぶ方が効率的です。
また、、「重心深度が深いと球の捕まりが良い」という理由で重心深度の深いゴルフクラブを選ぶよりも、
ダイレクトに「重心角が大きい」ゴルフクラブを選ぶ方が効率的です。
重心深度
