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低重心率 |
低重心率とは、ドライバーの場合だけに適用される数値で、以下の式で表されます。
(低重心率)=(重心高さ)÷(フェース高さ)

低重心率の数値が小さいほど、そのドライバーは低重心であると言えます。
低重心率と似たような指標として「有効打点距離」という概念もあります。
(有効打点距離)=(フェース高さ)−(重心高さ)です。
有効打点距離がが大きいほど、そのドライバーは総じて低重心であると言えます。
芝の上から打つアイアンやユーティリティーやフェアウェイウッドであれば、低重心であるほど
重心でボールをヒットし易くなるため、低重心の方がやさしいということが、直感的に判ります。
でも、ドライバーはティーアップして打ちます。ドライバーを低重心にしたら何か良いことがあるのでしょうか?
答えは飛距離です。ドライバーが低重心であるほど、ロングドライブになる確率が高くなるのです。
その理由を理解するためには、まずは「ギア効果」について、ご説明しなくてはなりません。
「ギア効果」とは、スイートスポットよりもトゥ寄りでボールをヒットするとフック回転がかかり、
スイートスポットよりもヒール寄りでボールをヒットするとスライス回転がかかるという現象です。

上の図でお解りいただけるでしょうか?
インパクトの瞬間に、ボールとヘッドはほんの少しの間、ひっつきます。
スイートスポットよりもトゥ寄りでボールをヒットした場合、ボールとヘッドがひっついている間に、
ヘッドはオフセンターヒットの衝撃により、時計回りに回転します。
この時、フェース面とボールは歯車(ギア)が噛み合っているような状態となり、
ボールにはヘッドの回転とは逆の方向の回転(フック回転)がかかります。
スイートスポットよりもヒール寄りでボールをヒットした場合には、上記と逆の回転(スライス回転)がかかります。
これが「ギア効果」です。このようにボールに横の回転を発生させるギア効果を「横のギア効果」と言います。
これに対して、「縦のギア効果」という現象も、同様の理屈で発生します。

スイートスポットよりも上でボールをヒットした場合、ヘッドはオフセンターヒットの衝撃により、
上方向(ロフトが大きくなる方向)に回転します。
上の図で言うと、ヘッドは赤矢印の向き(反時計回り)に回転します。
そして、ボールにはヘッドの回転とは逆の方向の回転(トップスピン)が加わります。
実際には、ゴルフでボールにトップスピンがかかることはないので、バックスピンを減少させることになり、
バックスピン量の少ない球を打つことができます。
また、スイートスポットよりも上でボールをヒットした場合、ヘッドが上に回転した分、
インパクトロフトは大きくなり、出玉は高くなります。
低重心のドライバーの場合、スイートスポットよりも上でボールを打つ確率が高まるため、
高弾道かつ低スピンのボールを打てる確率が高まるのです。
下の図は、バックスピン量と弾道の違いを表したものです。

ヘッドスピードの速いプレイヤーは、上図の黒い線に示すように、バックスピン量が多すぎることにより、
飛距離を損していることが多いです。俗に言う「球が吹けあがる」という現象です。
低重心のドライバーの場合、スイートスポットよりも上でボールをヒットする確率が高まるため、
出球が高くかつ低スピンの弾道の出る確率が高まります。つまり、上図の黄色い線に示すような
弾道になる確率が高まり、結果的に飛距離が伸びる確率が高まるのです。
クラブヘッドを低重心にするためには、ヘッドのクラウン側(ヘッドの上側)を軽くするか、
もしくはヘッドのソール側(ヘッドの下側)を重くする必要があります。
つまり、ヘッドのソール側に重量をかたよらせる必要があります。
ヘッドのソール側に重量をかたよらせると、ヘッドの慣性モーメントは小さくなってしまう傾向があります。
一部分だけに重量をかたよらせると、慣性モーメントは小さくなってしまうという特徴があるからです。
下のグラフは、ドライバー251本を対象にして、低重心率と慣性モーメントの関係を表したものです。
全体的な傾向としては、低重心率の数値が小さいほど、慣性モーメントの数値も小さくなり易いことが
判ります。ゴルファーがドライバーヘッドを選ぶ際には、大きな慣性モーメントで「安定性」を求めるか、
それとも低重心で「飛距離」を求めるかという選択を迫られるわけです。

上のグラフのように、全体的な傾向としては、低重心率の数値が小さいほど、
慣性モーメントの数値も小さくなり易いのですが、グラフを良く見ると、線が結構凸凹しています。
これはある意味、ゴルフクラブメーカーによる努力の成果を暗に示しています。
ヘッドのデザインを上手く工夫することにより、「低重心」と「大きな慣性モーメント」を
両立させているモデルも結構あるのです。
具体例をあげますと、クリーブランドの「ハイボアXLS」というクラブがあります。
このクラブは、クラウンを凹ませて低重心化を図りながら、かつヘッド形状を四角に近付け、更にヘッド後方の
左右に重量を再配分して重心深度を深くすることによって、大きな慣性モーメントを実現しています。
この結果、53%という低重心と、5,112g・cm2という非常に大きい慣性モーメントを実現しています。

2007年〜2009年に市販された主なドライバー141モデルの低重心率の平均値は60%です。
「安定性」を優先させるならば、低重心のモデルよりも慣性モーメントの大きいモデルを選ぶ方が良いです。
また、女性プレイヤーや非力なプレイヤーの場合には、ドライバーでバックスピン量が少なすぎるために、
球が十分に上がらず、飛距離を損しているケースもあります。
その場合には、むしろ高重心のドライバーを選ぶ方が飛距離が伸び、かつ安定性も得られます。
なによりも「飛距離」を最優先させるならば、低重心のモデルを選ぶと一発の飛びを期待できます。
低重心のモデルを選ぶ場合に、一つ重要な考慮点があります。高重心のモデルから低重心のモデルに
変更する場合には、リアルロフトが1〜2度大きいものを選びましょう。
低重心のモデルで、かつリアルロフトが小さいモデルを選ぶと、回転数が少なすぎて、
球がドロップしてしまい、全く飛距離が出なくなるケースがありますので注意が必要です。
低重心率
