シャフトのトルクとは
シャフトのトルクとは、シャフトがどれだけねじれ易いかを示す数値です。トルクの数値が大きいほどシャフトはねじれ易く、トルクの数値が小さいほどシャフトはねじれ難いです。トルクの数値は球の方向性や曲がり方に影響を与えます。
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シャフトのトルクの測り方
チップから1,040mmの部分を固定し、チップから40mmの部分に1フィート(約30cm)の長さの
計器を取り付け、計器の先に1ポンド(約454g)のおもりを取り付けます。この状態でシャフトが何度(°)ねじれるかを測定したものがシャフトのトルクです。
シャフトのトルクに関して一般的に言われていること
シャフトのトルクに関して、ゴルフクラブメーカー「フォーティーン」の竹林隆光さんがおっしゃるには、「トルクというのは車のハンドルの遊びのようなものである」とのことです。
「ハンドルに遊びのある乗用車は、少しハンドルを動かした程度では車の向きは変わらないが、レーシングカーのようにハンドルの遊びのない車はちょっとハンドルを動かしただけでも、
その動きが敏感にタイヤに伝わってクイックに車の向きが変わる」
「シャフトのトルクも同様で、トルクの大きいものは遊びも大きく、スイング軌道が乱れてもヘッドが敏感に反応しないので、スイング軌道が不安定な人でもヘッドの動きが不安定にならないメリットがある」
「また、最近はドライバーの重心距離が長くなってきているため、シャフトに対して以前よりもねじれの力が大きく加わるので、スイング軌道が不安定な人は、なおさらトルクの大きいシャフトを使った方が良い」
「逆にトルクが小さく遊びが少ないシャフトは、ちょっとしたスイングの乱れでヘッドの動きが変わる敏感なクラブになり、意図してボールを曲げたりするには適したシャフトと言える」とのことです。
竹林さんがこうおっしゃるのですから、これはこれで多分正しいのでしょう。でも、ゴルフクラブ数値.comでは、少し違った角度からシャフトのトルクについて考えてみたいと思います。
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スイング中に発生するシャフトのねじれとねじれ戻り
ところで、スイング中にシャフトはどのようにねじれるのでしょうか?シャフトは切り返し直後から、下の写真のように時計回りにねじれ始めます。ダウンスイングの初期の間、シャフトは時計回りにさらに大きくねじれていきます。
そして、ダウンスイングの中間付近の「リリース」のタイミング直前において、ねじれは頂点に達し、リリース後にはシャフトのしなり戻りと同調しながら、今度は反時計回りの方向にねじれ戻っていきます。そして、反時計回りにねじれ戻った状態でインパクトを迎えます。
ヘッドスピードが速いプレイヤーがトルクの大きなシャフトを使うと
ヘッドスピードが速いプレイヤーが、例えばレディースクラブなどのようにトルクが非常に大きいシャフト(例えばトルク7.0とか)を装着したゴルフクラブで思いきり打った場合、ボールは左に大きく曲がることが多いです。これはシャフトがねじれ戻り過ぎてしまって、フェースが大きく左に閉じた態でインパクトを迎えてしまった結果です。
ヘッドスピードが遅いプレイヤーがトルクの小さなシャフトを使うと
反対に、ヘッドスピードが遅いプレイヤーが、低トルクのシャフト(例えばトルクが3.0とか)を装着したゴルフクラブで打った場合、ボールは弱々しく右に曲がることが多いです。これはヘッドスピードが遅いためにダウンスイングの初期にシャフトが十分にねじれてくれなくて、その結果、ねじれ戻りもほとんど発生せず、フェースが右を向いた状態でインパクトを迎えてしまった結果です。
チップ硬度が球の捕まりを左右する
チップ側が軟らかいシャフトは球の捕まりが良い理由
一般的に、チップ側が軟らかい先調子のシャフトは球の捕まりが良いです。これは厳密には、先調子だから球が捕まりが良いのではなく、チップ側のトルクが大きいから球の捕まりが良いのです。球の捕まりが良いというのは、フェースが左を向き易いということです。論理的に考えて、フェースを左に向けるのは、あくまでも「ねじれ」であって、「しなり」ではありません。
チップ側が硬いシャフトは球の捕まりが悪い理由
一般的に、チップ側が硬い中調子や元調子のシャフトは球の捕まりが悪いです。これは厳密には、中調子や元調子だから球が捕まりが悪いのではなく、チップ側のトルクが小さいから球の捕まりが悪いのです。
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チップ側が硬いシャフトはトルクが小さく、チップ側が軟らかいシャフトはトルクが大きい
チップ側が軟らかいシャフトは球の捕まりが良く、チップ側が硬いシャフトは球の捕まりが悪い理由をゴルフクラブ数値.com的に分析してみました。デフレクション値が80~85mmのシャフト181本(つまり硬さがほぼ等しいシャフト181本)を対象にして分析を行いました。(デフレクション値に関しては、シャフトの硬さ(振動数)のページをご参照ください。)下の3つのグラフは、181本のシャフトのチップ剛性、センター剛性、バット剛性、とトルクとの相関関係を取ったものです。
センター剛性とバット剛性は、グラフが不規則になっており、トルクとの間に明確な規則性はありません。
これに対し、チップ剛性とトルクの間には、明らかな規則性があります。
チップ剛性が低いほどトルクは大きく、チップ剛性が高いほどトルクは小さいのです。
つまり、シャフトのトルクは主にチップ側の剛性に大きく影響されるということです。
そして、チップ剛性が低くトルクが大きいシャフトは球の捕まりが良く、チップ剛性が高くトルクの小さいシャフトは球の捕まりが悪いのです。
シャフトが硬いとトルクが小さくなり、シャフトが軟らかいとトルクが大きくなる
シャフトのトルクは、主にチップ側の硬さに大きく影響されることが判りましたが、これはあくまでもシャフト全体としての(チップからバットまでの全体としての)硬さが同じぐらいのシャフトの中で比べると、チップ側が軟らかいタイプのシャフトの方がトルクが大きいという意味です。
シャフト全体としての硬さが異なれば、その平均的なトルクも異なってきます。下のグラフのように、シャフトの振動数が小さい(シャフトが軟らかい)ほど、トルクの市場平均は大きくなり、シャフトの振動数が大きい(シャフトが硬い)ほど、トルクの市場平均は小さくなります。(振動数に関してはシャフトの硬さ(振動数)のページをご参照ください。)
シャフトのトルクの選び方
シャフトのトルクとスイングタイプの関係
スライスし易いスイングのプレイヤーには、チップ側が軟らかくトルクが大きめのシャフトが適します。フックし易いスイングのプレイヤーには、チップ側が硬くトルクが小さめのシャフトが適します。
シャフトのトルクとヘッドスピードの関係
ヘッドスピードの速いプレイヤーは振動数の大きい(硬い)シャフトが適し、ヘッドスピードの遅いプレイヤーは振動数の小さい(軟らかい)シャフトが適します。ヘッドスピードに合わせた適正な振動数のシャフトを候補として選んだ上で、スライス傾向のプレイヤーは、その中でトルクが大きめのシャフトを選ぶのが良く、フック傾向のプレイヤーは、その中でトルクが小さめのシャフトを選ぶのが良い、ということになります。
トルクの分類
ゴルフクラブ数値.comでは、3,620本のシャフトの統計を取った結果、以下のようにシャフトのトルクを分類しました。
当サイトの数値ページで実際のトルク値とその分類をご参照ください。トルクの項は各数値ページの一番下にあります。
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実際のシャフトの数値
実際のゴルフクラブの数値を数値ページでご参照ください。